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サッチョとツガネ(赤崎地区)

ページ番号:0007889 更新日:2023年2月6日更新 印刷ページ表示

サッチョとツガネ

今回は、サッチョ(サル)とツガネ(モクズガニ)が主役です。ツガネのハサミには、なぜか毛がついているのですが、その謎をとく(?)民話です。はじまり、はじまり…。

あるとき、サッチョとツガネが仲良く道をあるいていました。とても天気のいい日でした。それだからでしょうか、サッチョが「きゅう(今日)は よか日和のまい、餅どま作ろう」と言い出しました。ツガネはすぐ「うん、よかとの」と大賛成。さっそく、サッチョが「おさんな(あなたは)糯穂をふるい(拾い)やい、おりゃ小豆穂をふるうけん」といいました。ツガネは、いっしょうけんめい糯穂を集めます。サッチョも小豆穂を拾い集めます。もうだいぶたまりました。サッチョとツガネはさっそく、餅をつきます。ぺったん、ぺったん、たくさんの餅ができあがりました。もう、とってもうまそうです。
ツガネがさっそく食べようとすると、サッチョが「まてまて」と言いながら片っ端から袋につめはじめ、とうとうぜーんぶ入れてしまいました。そうして、その袋を担ぐとさっさと柿の木に登り、ひとりで餅を食べはじめるではありませんか。それを見たツガネは下のほうから「おいにもいっちょくれーんかん」とおらび(叫び)ます。ところが、サッチョは「いやーたい」と、ひとつもツガネにくれません。ツガネは何度も「おいにもいっちょくれーんかん」と言うのですが、サッチョは「いやーたい」と返事するばかり。そのうち「柿の木登って食ぶれば、うみゃーもんなー」とみせびらかします。それも柿の木を揺すりながら言うのです。ところが、有頂天になってあんまり揺すっていたので、柿の木がポキンと折れて、サッチョは袋ごと地面に落ちてしまいました。
すかさず、ツガネは餅の入った袋をつかむと、一目散に巣穴へと駆け込みました。そうして袋から餅を取り出すと「穴んなきゃひゃーって(入って)食ぶれば、うみゃーもんにゃー」と言いながら、うまそうに食べます。
さあ、今度はサッチョが穴の上から「おいにもいっちょくれーんかん」と言います。ツガネは「おさんなくれんじゃったけん、おいもくれーんたん」と、ひとりで食べます。そこでサッチョは「わがの(あなたが)くれんないば、おいがウンコば、たいかくっじゃ(ひっかけるぞ)」とおどかします。ツガネは「たいこもば、たいこみやい(ひっかけるならひっかけてみろ)」といって相手にしません。怒ったサッチョはバリバリバリとツガネの穴の中にウンコをたいかけます。でもツガネも負けてはいません。
この時とばかりサッチョの尻をはさみ棒でチリーッとねずみ(つねり)ました。サッチョはもうたまらず「あいたた、猿の毛三本くるっけん離せー」。
ツガネの足に猿の毛がついているのは、そういうわけがあったからだそうです。
そいばっか。

諫早史談会 川内 知子
絵:中路 英恵さん

※「そいばっか」は昔話のおしまいの決まり文句のひとつです