本文
唐比のくり舟
よみがな
からこのくりぶね
指定区分
市指定有形文化財
指定年月日
昭和56年7月14日
所在地
諫早市美術・歴史館 エントランスホールにて公開
昭和49(1974)年1月、唐比西名塔の本の水田から排水工事で水田を掘り下げていたときに出土したものです。
一本の巨木を刳り抜いて作ったもので、横断面は丸みの付いた「U」の字形をしています。
この丸木舟は放射性炭素年代測定の結果、今から約1200年前の奈良時代後期から平安時代中期(西暦772~894年)のものとわかりました。木でできた昔の舟が、ほとんど欠けることなく全体の形が分かる状態で出土する事例は大変めずらしいことから、市の有形文化財に指定されました。
『水晶観音縁起』によれば、「天暦10(956)年、この地の領主渡辺四郎五郎渡の姫であった虎御前が、楠の木を伐ってくり舟を作らせた。くり舟と姫はこの唐比の池の底に沈んでしまい、500年の後、湖底から水晶観音がくり舟に乗って浮かびあがった」とあり、1000年以上前から使用されていたことになります。
その昔、このあたりは沼沢であり、この地帯がまだ稲作水田として使用されなかった頃、内陸部の湖沼などで運搬用として用いられたものであろうと推定されます。