子どもたちへの伝言

~私の被爆体験(救護活動)~ 氏原和雄さん(諫早市高来町)の被爆者の救護活動

私は1930年に生まれ、原爆投下当時、15歳で動員学徒として諫早駅で働いていました。1945年8月9日、私たちの仕事内容は、列車の連結手見習いとして諫早駅の構内屋外での作業実習指導を受けておりました。
その日は、蒸し暑い晴天の日でした。11時2分、閃光が目を覆うような感じの後、しばらくして物凄い爆音が響き、瞬間何事が起ったのか今まで体験したことのない異様な雰囲気につつまれました。すると間もなくして、西の方角、長崎の空が黒煙で薄暗くなってきました。仲間達は、「これは大変だ。広島に先に落とされたのと同じ新型爆弾が長崎に落ちたようだ。」と大騒ぎになりました。
それから、色々な情報が本部から報道指示がなされ、浦上駅方面は全滅状態になっており、列車の運行は道ノ尾駅より先は運行出来ないので、急遽列車ダイヤの変更を行って、負傷者救護の救援列車に切替え途中運行するので、負傷者の救護を手伝うよう指示を受けました。
私達、駅関係者は救援列車からホームに負傷者を降ろす作業を手伝うように指示されました。他の作業班は、消防団、警防団、青年団、婦人会等で組織されていたようでしたが、駅のホームからそれぞれの救護病院、学校等いろんな臨時救護施設に収容する作業に分担して行動することでした。それぞれのリヤカーや担架、戸板等を準備して待機しておりました。
間もなくして救援列車が到着して車内に入ると、負傷者を見て驚きと恐怖で目を覆うほどの思いで、言葉に表現出来ないほどの凄い火傷でした。衣類は夏物の薄着であり、ほとんどの方が焼け裂かれ、上半身の着衣は無い状態でした。全身火傷で水膨れと皮膚が剥げ落ちている人、さまざまな方々で、男女の区別、年齢すら判断できない位の重傷の方々もおられました。
車内からは呻(うめ)き声と「水を!水を!」の声が交差し、私は、一刻も早く応急手当てをしてあげることが大切であると思いました。負傷者の方々は、毛布、ゴザ、衣類等を敷いて寝かせてありましたので4名1組で敷物の隅を持って、車内からホームまで運び出しました。とても体に触られるような状態ではありませんでした。
私達の列車には自力で動ける方はなく、重傷の方々でした。中には、既に息を引き取った方もおられました。このような救護活動は、夜中まで続き休憩する暇もなく、負傷者が一刻も早く手当を受けられるよう夢中で救護活動を致しました。
列車から降ろして、次の救援列車が来るまでの間は、私達も近くの海軍病院まで搬送も致しました。現在の諫早総合病院が旧海軍病院でした。負傷者は何百人位であったかは想像できませんでした。
このような作業は、9日、10日と続き、諫早駅だけでは処理収容出来ずに東諫早駅、長田駅方面まで搬送されたようでした。
私の遠縁になる方が、稲佐町で被爆、家屋を失い一家族8名の方が私の所に引っ越してこられ、納屋を改造して入居されました。このような関係で被爆10日目位後に、稲佐町の現地に家屋の整理片付けを手伝いに行きました。浦上周辺の現状が予想を上回る悲惨さに驚きました。一面焼け焦げ、鉄骨はねじ曲がり崩壊し、残骸だけ焼け残りその凄まじさに言葉を失いました。

このような悲惨なことは二度とあってはならないと思いました。戦争の怖さ核の恐ろしさは、70年の歴史を振返って今でも脳裏にこびりついています。
原爆被爆した者は、放射線による身体的遺伝的影響があるので、被爆した人は嫁に貰う人がいないとか、また嫁に来る人もいないとの風評が噂され、私達は被爆したことを公言しないように避けておりました。
しかし、私の三男が突然、小学校2年生(7歳)の時に白血病と診断され、主治医の先生から、「両親で原爆に被爆されたことはありませんか。」と尋ねられましたので、「実は父親の私が被爆しました。」と申しました。先生からは、「あなたの被爆が原因で子供さんに遺伝されたと思います。この白血病は、現在の医療では治療の方法は見当たりませんが、できる限りのことは致します。ただし、子供さんのこの白血病は余命3ヶ月くらいだと思います。」と宣言されました。本人は、当時は元気で平常通りでしたが、5月に入院、9月に息を引き取り、4ヶ月で先生の予告どおりでした。
私は、この現実に「核」の恐ろしさ・怖さを改めて実感致しました。

現在、色々問題になっている核兵器廃絶運動は、「戦争体験の無い方々に、二度と戦争に巻き込まれることのないように引き継がれて行かねばならない」と強く期待致します。

(平成27年9月寄稿)

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