婿さんが火ふき竹で、ポッと嫁さんの頭をたたくイラスト

むかしね、若い婿さんと嫁さんがいました。嫁さんは働き者のよい嫁さんなのですが、婿さんはちょっとばっかりふうけた婿さんでした。
あるとき、嫁さんの里に手伝いに来てくれというので、婿さんが出かけました。嫁さんの家では田んぼの仕事で大いそがし。婿さんもいっしょうけんめい手伝いました。
仕事が終わると嫁の親さんは団子をたくさーん作って食べさせました。婿さんはそれがとてもおいしかったので、うまそうに食べます。おなかいっぱい食べると「こりゃなんていうもんじゃろか」とたずねました。親さんが「こりゃダゴ(団子)って」といいました。婿さんは「そう、ダゴっていうもんばいね」というと、戻ったら嫁さんに作ってもらおうと思って、帰るときには「ダゴ、ダゴ、ダゴ……」と忘れないように、ずーっといいながら歩いていました。
その帰り道には、ちょうど真ん中あたりに川があって、飛び石の渡しがありました。それを飛んで渡るのですが、婿さんはそこに来ると、「ピントコ」といいながら渡りました。ところが石がいくつもあるものですから、「ピントコ、ピントコ、ピントコ……」といって渡ってきました。
だものですから、家に帰ってきたときにはダゴはもうすっかり忘れて、嫁さんに「かか、おれピントコしてかせろ(俺にピントコを作って食べさせてくれ)、うまかったじゃ」というではありませんか。
嫁さんはピントコなんて聞いたこともなかったので、さっぱり分かりません。「ピントコはない(何)じゃろか」「ピントコはわがえの親のしてかせたたあ、そいけんピントコをえんちもせろ(ピントコはおまえの家の親が作って食べさせてくれたじゃないか、だからわが家でもつくってくれ)」というのです。嫁さんがなかなかわからないので婿さんは「うまかとの、丸かったい」と話してきかせるのですが、いくら話しても嫁さんには何のことやら、さーっぱり見当がつきません。とうとう嫁さんが「おりゃピントコは知らん」というと、婿さんは「なしわからんとかね」と火ふき竹でポッと嫁さんの頭をたたきました。
すると嫁さんの頭にポコッとコブができました。まーるいコブです。嫁さんが「とーろしか、ほんにダゴのでくっごと(まるで団子ができたみたい)」というと「うーん、そのダゴ、ダゴたあ」と婿さんはようやく思い出しました。「おっとーダゴやったとばいね」と嫁さんはいうと、婿さんに団子を作ってやりました。
そいばっかい。

諫早史談会 川内 知子
絵:中路 英恵さん

「とーろしか」は、驚いたときなどに使われる言葉です
「そいばっかい」は昔話のおしまいの決まり文句のひとつです

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