木のてっぺんにある梨を、嫁さんがお尻をつきだしておならで落とそうとしているイラスト

昔、一人息子がいて、もう嫁御をもたせなければ、と親が嫁御探しに隣村に行ってみました。ちょうど畑に働き者の娘さんがいて、この娘さんを嫁にもらえないかと口をきいてもらいました。ところが娘の親は「喜ばしいことないどん、うちの娘はヘン(屁)ばへっけん嫁御にゃくいられん」と返事。息子の親はおかしなことを言うものと
「ヘンはだいでもへっけんよか」
「そう、ようごんすかん(いいでしょうか)」
「よかないばくいてくいござい(ください)」
ということで娘を嫁にもらってきました。この嫁の働くこと働くこと。よい嫁をもらったと息子の親はうれしくてたまりません。
それから2、3日たったときのこと、家の屋根の葺きかえをしようということで、息子は縄を綯います。母親は牡丹餅を作ろうと、嫁と黄な粉をひいていました。だいぶ黄な粉をひいたころ、嫁がもじもじします。母親が「どがんあっとかん」ときくと、嫁は「どぎゃんもごんせん」て言う。それでも「どがんじゃいろ色の青かよう、腹の痛かか?」と言うと「いんにどぎゃんもごんせん」。それでもおかしいので「なしそがんしとっとかん」ときくと「あのうヘンばへろごとあっ」て言うので「おっとうそがんこらえんちゃへればよか」と母親が言うと「そんならごめんなさい」と嫁は屁をへります。そうしたところその屁の太うして太うして、ひいた黄な粉はみーんな飛んでしまい、母親の鼻から目からいっぱいつまってしまいました。婿はと見ると、飛ばされて、綯った縄のなかにがんじがらめになって「うーんうーん」うなっていました。
母親はあきれて「こがん太かヘンないばどがんしょうもなか、働き者ばってん帰さんば」と残念に思いながら帰すことにしました。翌朝、婿が嫁を連れて行く途中、なにやら人だかりがありました。近づいてみると大きな梨の木のそばに立て札があり、「この梨をあやした(落とした)者に千両やる」とのこと。梨は、てっぺんにたったひとつ生っていました。殿様の薬ものというのです。まわりの者たちは石を投げたり、棒でつついたりしますが一向に落ちません。それを見た嫁さんは「おいがヘンであやしてみゅうだいえ」とトーンボして(お尻をつきだして)太いヘンをへります。すると梨がコテンとあえました。嫁さんは褒美に千両箱をもらいました。婿さんはそれを担ぎながら、「こいはおいがヘンとじゃなかけん、嫁がへったヘンとじゃっけん、おいんとじゃなかもんね、おりゃ持ってにゃ帰られんもんね」と考えながら、嫁の家の近くまで来ると「こりゃまた連れて帰ろう」と嫁御もろとも千両箱を抱えて帰り、一生安楽に暮らしました。そいばっか。

諫早史談会 川内 知子
絵:中路 英恵さん

※「へへのじゅう」は「おならが出る~」という意味の諫早弁です
※「そいばっか」は昔話のおしまいの決まり文句のひとつです

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