門松にふんどしが掛かっていて、隣のジーヤンが詠んだうたに感心するやかまし屋のジーヤンのイラスト

今回は、おじいさんのトンチのきいた和歌(うた)がおもしろいお話です。はじまり、はじまり……。

むかしね、やかまし屋のジーヤンがいました。すーぐガミガミと怒るジーヤンでした。
ある年の晩(大みそか)、アンネ(女中さん)が家中を掃除した後、ぞうきんを床の間に置き忘れてしまいました。
元日になりました。ジーヤンが床の間にお参りに行くと、そのぞうきんが置いてあったものですから、もう気色悪げに「こけぞうきんをだがええたか(ここにぞうきんを誰が置いたのか)」とアンネを叱ります。アンネはジーヤンにあやまるのですが、「正月早々から」と言って許してくれません。
そこへ隣のジーヤンがやってきました。とってもトンチのよいジーヤンで「ないて元日早々怒りよいますなた(なぜ元日早々そんなに怒っているのですか)」とたずねます。やかまし屋のジーヤンは「こいが床の間にぞうきんばいっちょいとっとたいえ(これが床の間にぞうきんを置き忘れていたのですよ)、元日早々」
すると隣のジーヤンは「そらええこと」と言うではありませんか。ジーヤンが「なしてかん」と聞くと、「床の間に 忘れしものは 倉と金 あっち福福 こっち福福」(床の間に忘れたものは「倉(ぞう)」と「金(きん)」。あちらもこちらも福(拭く)がきます)とうたを詠み「あんたがたは今年は銭ばっかいたい」と言うものですから、もうやかまし屋のジーヤンは「そうたいね、うん、ほんなごて、よかことたい」といっぺんに機嫌がよくなりました。
そこでふたりはにこにこと新年のあいさつをかわし、お神酒をいただき、それからそろって初詣に行くことにしました。
ところが戸口を出ると、門松にヘコ(ふんどし)が掛かっていました。それを見たやかまし屋のジーヤンは、またまた はらかいて「ヘコをこがんとこれへえて(干して)!門松にヘコば干すてあんもんか!」とかんかんに怒ります。すると隣のジーヤンがちょっと考えて「そいはよかことたあ」となだめます。
「なし(どうして)、ヘコを門松に干すてあんもんですか」とせっかくよくなった気分もいっぺんに台無しです。
隣のジーヤンは「よかうた詠みのあっとの」と言って「門松に 掛けしものは 金包み さぞや今年も まわしよからん」(門松に掛けているのは金包み。さぞ今年も金のまわりがよいことでしょう)と詠みました。やかまし屋のジーヤンは「ふーん、ほんなごと」と、もうたいそう感心してしまいました。
そうしてすっかり気分がよくなったジーヤンは隣のジーヤンと初詣に行き、めでたく正月を迎えました。
そいばっか。

諫早史談会 川内 知子
絵:中路 英恵さん

※「そいばっか」は昔話のおしまいの決まり文句のひとつです。

お問い合わせ
総務部 秘書広報課
〒854-8601  長崎県諫早市東小路町7-1
(秘書担当:本庁・本館4階)
(広報担当:本庁・本館5階)
電話番号:0957-22-1500
ファクス:0957-23-6031

より良いウェブサイトにするために皆様のご意見をお聞かせください

 この情報は役にたちましたか?

読み込み中 ... 読み込み中 ...

 この情報のページは見つけやすかったですか?

読み込み中 ... 読み込み中 ...